カルスはトルコの東部に位置する人口11万人の都市だ。標高1750mm。カルスはDogu Expless (EKSPRESI) という長距離夜行の終着点である。ドグエクスプレスはアンカラからカルスまでを24時間で結ぶ。
カルス→アンカラ 1000km 24時間 寝台たった1600円 安いぞTCDD
駅で撮影してても怒られない!
そもそもホームに警官がいない!
車掌がドアの前で待ち構えてない!
客が無駄に早く駅で待ってないから駅が空いてる!何なんだここ pic.twitter.com/Xk7DDX7qxH
— 石器時代 (@NsaYamamoto) March 11, 2020
カルスは地図にするとこんな感じ
アンカラから長距離夜行Dogu expに乗れば東西に長いトルコをぶっちぎってやったぜと達成感が得られるだろう。Karsが終着なんだから鉄道はKarsで終わりで乗り切ったと思い込んでいた。(実際には今回の旅行はグルジアから入ってAnkaraへ向かうルートだがそこは適当に了承してほしい。)
例えばおなじみユーレール時刻表でトルコの頁を繰ってもKarsで鉄道は途切れる。
だが事実は違った。Dogu expだけでは東西ぶっちぎりきれていなかった。カルス駅に到着した時その事実は発覚したのである。
ああっ…
カルス駅の時刻表。ど田舎でたった4便しかない。2本のアンカラ行き DOGU EKSPRESI (座席と寝台), TURSTIK DOGU EKSPRESI(豪華な寝台オンリーの列車で前者より4倍くらい高価)が上に書かれている。
問題は下のKars Akyaka 、BOLGESEK YOLCU(DMU) というやつ。朝晩2本走っているらしい。これは不意打ちである。ホワイトアルバム2の最後くらい不意打ちである。たたたー(適当)
路線
ウィキペディアのトルコ国鉄の地図でも見ると一応アルメニア方面への線路は通じてるのは知っていたが営業列車があるとはな。実はTCDDの公式サイトで駅ごとの時刻表を見れば事前に分かることだ。なにせ自分は情弱である。
カルス →Akyakaは約50km。
さらにAKYAKA駅はアルメニア国境まで10km、ギュムリまで20kmある。アルメニアとトルコは中が悪いので陸路国境は閉鎖している。
アルメニアは国民のシンボルであるノアの方舟が流れ着いたアララト山を自国領に返還してほしいが、トルコ政府が認めていない。アララト山の土地はスターリンがトルコにあげちゃったらしい。
アルメニアはイケてたAD1000年頃、広い領土を持っていたが今は小さい。最盛期は現在のレバノンやシリアなどにおよび地中海まで到達していたらしい。
加えてナゴルノ・カラバフでアゼルバイジャンに盛大に喧嘩を売っているのでアゼルバイジャンの味方のトルコもおこである。色々あって陸路国境は閉鎖している。
仮にカルスーギュムリルートが繋がっていたら簡単に行き来できたのに。実は6週間前ギュムリに居たのだがそれからグルジアを経由して大回りでAkyakaに到着した。600kmは大回り移動している。
ダイヤ
Kars 6:30 →Akyaka 7:26
Akyaka7:30→Kars 8:26
Kars 16:00 →Akyaka 16:56
Akyaka17:30→Kars 18:26
トルコ東の果て?
実際にはイランへ直通するVanの方が東の果てだが、こちらはこちらでトルコ内で2番目に東の端だし良いことにする。神経質にならないのがコツである。
カルス駅からDMUに乗った
トルコの東端駅2号ちゃんアクヤカに16時発の列車で行ってみることにした。マニアは果てに行きたがるものである。東根室みたいなものである。
カルス駅。
DMUはヒュンダイ製。
Hyundai Rostem Companey MFD IN 2008 と客室内。MFD INってなんなんだ。
面白みには欠けるが乗車は快適だ。椅子はボロくないし窓と椅子の間隔は考えて作られていて2席で1つの窓分になっている。中華製車両や、エレクトリ―チカに無理矢理リクライニングシートを後付けして窓と椅子の間隔が無茶苦茶になったろくでもない車両に乗りまくっている僕としては極めて文明度の高い車両に見える。韓国凄い。
客はアクヤカ方面へ帰宅する地元民らしき人々で半分以上の椅子が埋まっている。
途中駅は3駅程度がAkyaka到着前にまとまってあった。Kars発車後はほぼ平原を走っていた。
50分で終点に到着する。
Akyaka駅
うおー 東西をぶっちぎってやったぜ..あっれぇ
あれフッツー。
アルメニア国境まで10kmと聞くと行ったらやばいイメージがあるがここは駅に警官すらいない。ただの田舎の駅である。写真は撮り放題コーカサスの殺伐とした地域とは違って国境は確定しているからだろう。
列車の到着を待ちわびるタクシーや家族が待ち受けている。駅前は田舎町の商店街と言った感じだ。飲食店と売店があり思ったよりにぎわっている。さながら東北の田舎駅がまだ栄えていた時のイメージだ。さらにこの辺りは農業が盛んなのかトラクター屋があり、道路ではトラクターが突っ走っていた。
アルメニアの方を目を凝らしてみる
アルメニア方面へ線路が続いているのは見える。
折り返し時間は30分だし国境に近づくと本当にろくなことにならないのでこの先へ歩いてまで詮索しない。トルコは1435mmでアルメニアは1510mmなので直通は出来ないが国交があれば乗り換えて行くくらいは出来るはずだ。とても仲が良ければ台車を履き替えて直通もあるかもしれないがそんなに仲良くなることは無いだろうけど。
折返し列車
Kars→Akyakaの帰宅列車の折返しなので空気輸送かと思いきや、案外地元民は乗っていた。アクヤカに学校があると思われ中学か高校生くらいのキッズが乗っていて彼らは途中駅で降りていった。カルスまで乗っていく大人も思ったよりいた。数えていないが20人はいた気がする
結論
乗車するDMUは特に面白みはないし、アクヤカへ到着してもごく普通の田舎町で、なんというか、うん普通すぎる。確かに思い出してみれば最果て駅というのは往々にして大したことない。東根室なんて周りに平屋の家しかない。最果ては素っ頓狂なアトラクションではない。最果てに期待してはいけない。それにAkyakaはVanのイラン方面には負けているから2番目に最果て、準最果てなのでプレミア感もない。
どうしても東の果てに行ってみたい人ならば行く価値はあるかもしれない。しかしこんなどうでもいい駅に行くくらいなら20km南にあるOcakli のアルメニア教会を訪れたほうが余程為になると思う。
僕は今正気に戻った!家でネットフリックスを見たほうがマシだ! 今すぐ旅行を中止する(しなさい)
めったに行かない場所であることは事実だ。こんな所にも住民がいて乗客がいるんだなくらいに思えばいいかもしれない。
値段
片道6.5リラ 何もしてないのに何らかの割引で15%安価になった後の数字だ。